大和郡山|七転び八起きの大改修 豊臣秀長の菩提寺「春岳院(しゅんがくいん)」で城下町の歴史を体感

大和郡山は、天下人・豊臣秀吉の弟であり名補佐役として活躍した秀長公が治めた街。
秀長公が定めた箱本制度の町名が現在も受け継がれているなど、彼がこの地にもたらした影響の大きさを感じることができます。

今回は郡山城跡からほど近くにある、秀長公の菩提寺「春岳院(しゅんがくいん)」をご紹介しましょう。

郡山城跡からほど近い春岳院

春岳院は近鉄郡山駅から徒歩圏内。のんびりとした雰囲気の街を眺めながら、10分ほどで行くことができます。

市役所を通り過ぎて脇道に入り、さらに少し北上した場所に案内看板を発見。矢印の指す方へ歩けばほどなく到着です。

山門に掲げられた表札には「大和大納言豊臣秀長公菩提寺・如意山春岳院」と書かれています。

境内に足を踏み入れると、正面奥に本堂が鎮座。

左横の受付で拝観料を納めると、本堂の中を見学できるほか、ガイドさんに案内もしてもらえますよ。

秀長公の菩提寺で、郡山城下町の歴史に触れる

春岳院の本堂は、令和の大改修を経て、2026年1月に拝観を再開したばかり。
現在は写真撮影禁止です(今回は取材ということで、特別に許可をいただいて撮影しました)。

中に足を踏み入れると、ご本尊の阿弥陀如来像が出迎えてくれます。時代を超えて受け継がれてきた佇まいは美しく、ながめているだけで心が清められていくよう。

隣では秀長公の位牌が開帳されています。
春岳院という名前は、彼の戒名である「大光院殿前亜相春岳紹栄大居士(だいこういんでんぜんあそうしゅんがくしょうえいだいこじ)」が由来なんですよ。

位牌の横に鎮座しているのは秀長公木像。平成元年に市民がお金を出し合ってつくった像です。かしこく温厚そうな表情に、現代にも伝わる秀長の人柄が表れていますね。

こちらは柳沢家の統治時代につくられた肖像画のレプリカ。大和郡山市の指定文化財です。よく見てみると、着物の模様に柳沢家の家紋が描かれているんですよ。

ご本尊の裏側には、出自不明の仏像がいくつも鎮座しています。つくられた時代は平安時代から江戸時代までさまざま。

どこからどういう経緯で春岳院に集まってきたのか、当時のストーリーを想像せずにはいられませんね。

幕末まで続いた秀長の政策・箱本制度

こちらは御朱印箱。箱本制度にまつわる古文書が収められていました。

箱本制度とは秀長公がつくった政策です。
13の町を城下町の基盤とし、専売や地代免除などの特権を与えるかわりに、治安や消火活動、訴訟、課税、伝馬などを月交代で各町に任せていました。

御朱印箱も、その月の当番となった町が管理していたそうですよ。

この箱本制度は幕末まで続き、町の発展を支えました。

当時の大和は興福寺がつよい力を持っており、統治がむずかしい場所だと言われていたのだとか。だからこそ秀長公は、町の基盤を固めるために独自性のある制度を考えたのかもしれませんね。

ちなみに、13の町の名前は現在も残っています。
紺屋町や雑穀町、綿町など一見ユニークな地名には、歴史的な背景が隠されていたのです。

安全に参拝してもらうため令和の大改修を実施

春岳院は鎌倉時代中期に創立されたと伝えられています。
建物のあちこちで老朽化が進み、雨漏りや抜けそうな床などの課題を抱えていました。

現在の住職さんは、春岳院に来て間もないタイミングで大河ドラマ「豊臣兄弟!」制作決定の連絡を受け、令和の大改修を決意。
2024年11月から約2か月間、クラウドファンディングで修繕費を募り、本堂の改修が実現しました。

安心して参拝に来てもらえるよう、床や柱、屋根などあらゆる箇所を修繕したそうです。
お寺のInstagramでは、工事中の様子を見ることができますよ。

受付では、住職さんの思いやこだわりが詰まったおみくじや御朱印を販売しています。

美しい切り絵の御朱印は、月ごとにあたらしいデザインが登場します。

デザイナーさんとの打ち合わせを重ねて製作された御朱印には、秀長公や季節の花、行事などが描かれているんですよ。

こちらはダルマみくじ。
令和の大改修の過程では、さまざまな壁にぶち当たり、まさに「七転び八起き」だったそうです。それでも何とか改修を完了できた幸福を、他の人にもおすそ分けしたいという思いが込められているのだとか。

ダルマみくじの隣には、全てが上手くいくへのかっぱ御守も!

日々のもやもやを解消したい方には、厄割玉がおすすめ。

小さくて軽い玉で、穴がひとつ開いています。この穴に厄を吐き出すイメージで息を吹き込んだら、地面に叩きつけて粉砕!
自分の中に溜まっていた厄を、この玉に込めて叩き割ることができるのです。

玉はすぐ割れる材質なので、砂利にぶつけても良いのだとか。周囲に気を配りながら厄を粉砕しましょう。

七転び八起きの大改修を乗り越えて生まれ変わった春岳院。近鉄郡山駅や郡山城跡からも歩いて10分ほどです。

秀長公が治めた郡山城下町の歴史に触れられるだけでなく、エネルギッシュな住職さんやスタッフさん方に元気ももらえますよ。

街散策のルートに加えてみてはいかがでしょうか。

春岳院
住所:奈良県大和郡山市新中町2
アクセス:近鉄橿原線「近鉄郡山駅」から徒歩約10分
JR大和路線「郡山駅」から徒歩約15分
TEL:0743-53-3033
開門時間:9:00-16:00
拝観料:500円(小学生以下は無料)
定休日:年末年始
駐車場:なし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。